全国のあちこちの労働保険事務組合に下記のような文書が届いている・・・
労働保険事務組合報奨金交付に係る申立書
報奨金に係る「区分経理」について
そもそもの震源地は下記からだろう・・・
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary21/iken08.html
その中の下記の内容をアップしておこう・・・
本日、仕事中なので論評などまたヒマがあれば・・・
労働保険事務組合に対する報奨金制度の見直しについて(厚生労働大臣あて)
指摘の背景となった平成21年度の報奨金の交付額(支出) 108億0589万円
1 報奨金制度の概要
(1) 労働保険事務組合制度の概要
厚生労働省は、中小事業主の事務負担を軽減し、労働保険の適用促進及び適正な労働保険料徴収の確保を図ることを目的として、労働保険事務組合制度を設けている。労働保険事務組合(以下「事務組合」という。)は、厚生労働大臣の認可を受けて、事業協同組合、商工会等の既存の事業主の団体等がその構成員等である中小事業主から委託されて労働保険事務を処理するものである。
(2) 報奨金制度の概要
厚生労働省は、昭和48年度以降、労働保険料の納付状況が著しく良好な事務組合に対して、労働保険料に係る報奨金(以下「報奨金」という。)を交付しており、平成21年度における交付額は10,152事務組合に対して108億0589万余円となっている。そして、報奨金の交付目的は、厚生労働省では、①事務組合制度の普及発展(事務組合数の増加等)、②事務組合における労働保険の適用促進、③事務組合に労働保険事務を委託した事業主(以下「委託事業主」という。)に係る労働保険料の適正な徴収(収納率の向上・維持等)を図るためとしている。また、報奨金の使途は制限されていない。
報奨金の交付要件は、委託事業主のうち常時15人以下の労働者を使用するなどの事業主(以下「対象事業主」という。)について、その全対象事業主から納付された前年度の労働保険料の合計額が納付すべき額の95%以上となっていることなどとなっている。また、報奨金の交付額は、事務組合ごとに、①全対象事業主から納付された前年度の労働保険料の合計額に2.5%を乗じて得た額(定率分)と
②対象事業主の常時使用する労働者数等に応じて定められた単価に対象事業主数を乗じて得た額(定額分)を合計したものとされている。
2 本院の検査結果
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
(1) 報奨金交付の意義について
事務組合制度の普及発展の状況及び事務組合における労働保険の適用促進の状況について、事務組合数、委託事業主数及び委託率の推移をみると、事務組合数は昭和58年度末に、委託事業主数は平成10年度末に、委託率は11年度末にそれぞれピークに達した後、いずれも減少に転じて、事業主の高齢化、後継者不足等に伴い、今後も漸減していくことが見込まれる。このため、報奨金の交付目的のうち、①事務組合制度の普及発展及び②事務組合における労働保険の適用促進という面からの報奨金交付の意義は、現状では希薄になっていると認められる。
一方、委託事業主に係る労働保険料の収納状況について、委託事業主に係る労働保険料の収納率(以下「事務組合の収納率」という。)の推移をみると、昭和49年度以降、30年間以上にわたって、ほぼ98%以上で推移し、平成21年度においても98.5%と高い収納率となっている。これに対して、事務組合に委託していない労働者数15人以下の事業主に係る労働保険料の収納率は、21年度において86.4%となっている。このため、③事務組合の収納率の向上・維持等のうち、収納率の向上はこれ以上見込めないものの、収納率を高く維持するという面からは、現状でもその意義を有しており、事務組合の役割は今後とも重要なものになると認められる。
(2) 事務組合の運営における報奨金の使途及び報奨金交付額の状況について
事務組合の運営における報奨金の使途について、21年度に報奨金の交付を受けた全10,152事務組合のうち無作為に抽出した501事務組合を対象に、その収支状況等から実態調査を行ったところ、501事務組合のうち161事務組合は区分経理を行っていて、報奨金を事務組合の人件費等の運営費に充当している状況となっていた。また、残りの340事務組合のうち184事務組合は、報奨金を事務組合の人件費等の運営費に充当していると認識しているとしている。このように、事務組合の多くは、その運営において報奨金を事務組合の人件費等の運営費に充当している現状にあると認められた。
しかし、報奨金の交付額は、上記のような人件費等の運営費への充当という現状を踏まえることなく、前記のとおり対象事業主から納付された労働保険料の合計額等に基づき算定されているため、その合計額が多ければ多いほどこれに比例して、多額となっている。そこで、21年度に報奨金の交付を受けた4,317事務組合に係る監査報告書等により各事務組合の職員1人当たりの報奨金の交付額についてみると、報奨金の交付額が100万円未満の事務組合では40万余円に過ぎないのに対して、1000万円以上の事務組合は259万余円と6倍以上となっていた。
以上のことから、報奨金の交付額の算定方法については、上限額を設定するなど事務組合の人件費等の運営費に充てられている報奨金の使途の現状を考慮したものに改め、交付額の縮減を図る必要があると認められる。また、本院が実態調査を行った前記501事務組合のうち、340事務組合は区分経理を行っていないなどしている状況となっていた。しかし、昭和60年度以降、厚生労働大臣の認可を受けようとする事務組合はその規約に区分経理を行う旨を定めることとされており、事務組合において
区分経理が適切に行われ、国から支出された報奨金の使途が確認できるようにする必要があると認められる。
3 本院が表示する意見
報奨金制度は、失業保険事務組合に対する報奨金制度の創設から半世紀以上が経過しており、近年、産業構造の変化とともに事業主の高齢化、後継者不足等により中小事業主の廃業が増加したり、国から支出された国費の使途の透明性が求められたりするなど、報奨金制度を取り巻く環境は変化している。
また、報奨金の交付額は依然として多額に上っている。
ついては、厚生労働省において、報奨金の交付が適切かつ効果的なものとなるように次のとおり報奨金制度を見直すよう意見を表示する。
ア報奨金の交付目的の達成状況や使途の現状を把握した上で、報奨金の交付目的が事務組合の収納率を高く維持することにあることを明示するとともに、交付額の算定方法を、上限額を設定するなど報奨金が事務組合の人件費等の運営費に充てられている現状を考慮したものに改め、交付額の縮減を図ること
イ事務組合に対して区分経理を適切に行うよう指導監査を徹底し、国から支出された報奨金の使途の透明性を確保すること
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