2013年4月17日水曜日
手抜きのブログの補強・・・( ^^) _旦~~
直前のブログの最初の行
>****さん、「基本権」と「支分権」についてメールありがとうございます。
なんのこっちゃかわからないので、ブログの補強ということで載せておこう・・・
結構面白いのであります・・・まるで社会保険労務士みたい(-_-;)
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****です。
**先生から情報提供いただきました時効特例の件、非常に興味深い
ですね。
実は、色々あって、最近、この「公的年金制度の時効」について調べ
ることが多いのですが、今回のニュースや週刊誌の記事は、時効特例
法が施行された際の「時効の援用」に関する問題のようです。
既に御存知の方もいらっしゃると思いますが、記録問題勃発時を思い
返してみますと…。
当時は私もあまり細かなことまでは調べていなかったのですが、この
「時効」の問題については、「時効特例法」だけの問題ではありません。
また、公的年金制度の「時効」の考え方は、労災制度とは微妙に異なり、
「基本権」と「支分権」の問題となります。
「基本権」は年金を受給する権利そのもの、「支分権」は毎月ごとに
発生する年金の権利、と大まかに分類されていますが、この内、「基本権」
については、これが時効消滅しますと、そもそも年金の請求自体が不可
能となることから、実務上は、「時効無し」といったニュアンスで取り
扱われていることが多いと思います。
一方で、「支分権」については、こちらは時効が適用されることにな
りますので、例えば、満60歳時に年金請求をしなければならなかった
ところ、6年間放置してしまっていた、というケースでは、基本権は
時効消滅はしません(年金は請求できる)が、支分権は時効消滅しま
すので、支給される年金は遡って5年分だけ、という扱いとなります。
それでは、この様な実務上の取り扱いが、法律上はどの様に解釈され
ているのかといいますと、元々、時効特例法施行前の国年法第102条
(時効)の第1項に次のような記載がありました。
1.年金給付を受ける権利は、その支給事由が生じた日から5年を経
過したときは時効によって消滅する。
これは、基本権のことなのですが、実は支分権については、この時点
では時効に関する取り扱いが記載されていなかったのです。
更に会計法の30条には「金銭の給付を目的とする国に対する権利は、
時効に関し他の法律の規定がない時は5年で時効消滅」の定めがあり、
更に31条には
「時効の消滅に関し、別段の定めがない時は援用を要さず」という規
定があるのですが、年金の給付は、当然ながら、この法律の適用を受け
ます。
ちなみに、「時効の援用」というのは、時効によって利益を受ける者が
「時効が成立した」ということを主張することで、年金の場合は、時効
が成立すれば支払いをしなくて済む国側が「時効を援用」することにな
ります。
以上の前提で、時効特例法成立前の国年法を見てみますと、基本権につ
いては記載がありますので、これに関しては「別段の定めがある」とい
うことになり、権利発生日から5年が経過したとしても、当該基本権が
自動消滅、ということにはなりません。時効消滅させる為には、国が時
効を援用する必要があるのです
が、しかし、労災保険制度とは異なり、本人が保険料を負担している公
的年金制度で、果たしてそれは許されるのか、という議論から、国は、
基本権に関しては「時効を援用しない」ことで、事実上、「基本権には
時効が存在しない」取り扱いを行っています。
しかし、支分権に関しては、この時点では、国年法に記載がなされてい
ませんでした。つまり、特段の定めがないということで、この場合、支
分権については、会計法の適用を受けて、権利発生日から5年経過ごと
に自動消滅ということになってしまっていたのです。
この問題を踏まえ、記録問題発生時に、時効特例法を成立させ、実際に
「支分権」を自動消滅させないためには、どうすれば良いのか…という
ことで、平成19年、国年法102条第1項に以下の改正が行われました。
1.年金を受ける権利(当該権利に基づき支払期月ごとに又は一時金と
して支払うものとされる給付を受ける権利を含む。第3項において
同じ)は、その支給事由が生じた日から5年を経過したときは、時
効により消滅する。
3.給付を受ける権利については会計法第31条の規定を適用しない。
(第2項は省略しました)。
これで、国年法102条に基本権と支分権が記載されたことになり、こ
の2つの権利を時効消滅させるためには、国が時効を援用する必要がある、
という取り扱いに変わりました。
時効特例に該当する「消えた記録」が見つかった時は、支分権について、
国が時効を援用しないので、遡って全期間の年金額が支給される。
一方で、「消えた記録」に該当しない、「単なる請求漏れ」の場合には、
国が支分権の時効をし、遡って5年間分の年金だけを支給する、という
のが、現在の記録問題に関する取り扱いの法的根拠なのですが、実は、
更に「時効を援用しない場合の基準」に関する通達等も出されています。
今回、問題となっているのは、この支分権に関して「時効を援用しなかっ
た」ケースと、「時効を援用された」ケースが混在していることがそもそ
もの原因かと思われますが、とりあえず、余りにも長くなりすぎましたの
で、今回はこの辺で失礼いたします。
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むむむ、
>更に「時効を援用しない場合の基準」に関する通達等も出されています。
気になるではないか・・・
早速探しました・・・
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時効特例法の施行から5年が経過したことに伴い、年金の受給権(支分権)
に係る時効消滅の援用を行わないケースを示した通達、「厚生年金保険の
保険給付及び国民年金の給付を受ける権利に係る消滅時効の援用の取
扱いについて」(平成24.9.7年管発0907第6号)が発出された。
【通達の内容】
従来、支払期月ごとに支払うものとされる厚生年金保険の保険給付及び
国民年金の給付(以下「年金」という。)の支給を受ける権利については、
会計法第30条及び第31条第1項の規定により、5年間これを行わないと
きは、時効の援用を要せず、時効により消滅することとされていた。
平成19年7月6日に施行された厚生年金保険の保険給付及び国民年金
の給付に係る時効の特例等に関する法律(以下「法」という。)により、施
行日において年金を受ける権利(以下「受給権」という。)を有する者等に
ついて、年金記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含む。以下
同じ。)が行われた場合においては、その裁定による当該年金記録の訂
正に係る年金を受ける権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる
年金の支給を受ける権利について、当該裁定の日までに消滅時効が完
成した場合においても、当該権利に基づ<年金が支払われることとなった。
また、法の施行日後に受給権を取得する者の支払期月ごとに支払うもの
とされる年金の支給を受ける権利については、法による改正後の厚生年
金保険法第92条第4項及び国民年金法第102条第3項において、会計法
第31条の規定を適用しない旨の規定が設けられたことにより、時効による
当該権利の消滅の効果は、当該権利の発生から5年の時効期間の経過
とともに確定的に生ずるものではなく、国により時効が援用されたときに初
めて確定的に生ずるものとされた。
ついては、平成19年7月7日以降に受給権が発生する支払期月ごとに支
払うものとされる年金の支給を受ける権利に係る消滅時効の援用の取扱
いを下記のとおりとするので、年金事務所等に周知徹底を図り遺漏のな
いよう取り扱われたい。
記
1 時効の援用の取扱いの対象となる者
時効の援用の取扱いの対象となる者は、法の施行日後に受給権が発生
した者(未支給の保険給付又は年金の請求権者を含む。)を対象とする。
2 時効の援用の取扱い
支払期月ごとに支払うものとされる年金の支給を受ける権利の発生から
5年を経過し、その権利について消滅時効が完成した場合は、時効を援
する。
ただし、次の(1)又は(2)に該当する場合は、時効の援用はせず、年金
支払うこととする。
(1)年金記録の訂正を行ったもの
厚生年金保険法第28条又は国民年金法第14条の規定により記録した事
項の訂正がなされた上で裁定が行われた場合
(2)時効援用しない事務処理誤りと認定されたもの
別紙「時効援用しない事務処理誤りに係る認定基準」により時効援用し
ない事務処理誤りと認定された場合。ただし、(1)に該当する場合を除<。
3 保険給付遅延特別加算金等の取扱い
2の(1)に該当する場合は、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の
給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律第2条及び第3条
びに厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係
加算金の支給に関する法律施行令第1条及び第3条の規定に基づき、
保険給付遅延特別加算金及び給付遅延特別加算金の支給を行う。
4 実施時期
この取扱いは、平成24年11月1日から適用する。
【別紙】
<時効援用しない事務処理誤りに係る認定基準>
時効の援用の取扱いにおいて、次の1から8までのいずれかの事由に
該当する場合は時効援用しない事務処理誤りがあったものと認定する。
1 受付時の書類管理誤り
日本年金機構(以下「機構」という。)において保有している請求書、申
請書、届出書又は申出書及びこれらに関する添付書類(以下「請求書
等」という。)の担当部署への回付漏れ、又は請求書等へ押印された
受付印の年月日の誤り若しくは押印漏れの事実が確認できる場合
2 確認又は決定誤り
法令及び機構の諸規程(以下「法令等」という。)と社会保険オンライ
ンシステムに登録されている内容を照らし合わせ、機構における請求
書等の内容の確認誤り、受給要件に係る事実関係の誤認、又は法令
等の適用誤りに基づく誤った行政処分が行われた等の事実が確認で
きる場合であって、当該事実が発生したことについて、受給権者の責
に帰すべき事由が認められない場合
3 未処理又は処理の遅延
請求書等の未処理(社会保険オンラインシステムヘの入力漏れ及び
機構本部等への進達漏れ)又は処理の遅延の事実が確認できる場合
4 入力誤り
適正に審査された請求書等とは異なる内容が、社会保険オンライ
ンシステムに登録されていることが確認できる場合
5 通知書の作成誤り
通知書(年金証書、裁定通知書又は支給額変更通知書等の処分通
知書に限る。以下同じ。)の様式誤り又は処分の名宛人の記載誤りが
確認できる場合
6 誤送付又は誤送信
社会保険オンラインシステム又は請求書等に記載された住所地若
しくは処分の名宛人以外への通知書の誤送付、誤送信若しくは誤
交付の事実が確認できる場合
7 説明誤り
機構若しくは市区町村の窓口若しくは電話等における制度の説明
誤り及び説明漏れ、又は請求書等の作成若しくは添付に係る指示
誤りを行った事実が確認できる場合であって、受給権者の責に帰
すべき事由が認められない場合。ただし、市区町村が行った説明
については、国民年金法に基づく法定受託事務を執り行う過程で
行ったものに限るものとする。
8 受理後の書類管理誤り
受付した請求書等を紛失した事実が確認できる場合
・上記に伴い、60~64歳の間の厚生年金記録が判明したことによ
る65歳以降の老齢厚生年金の増額分について、時効について消
滅した分を含めて、年金時効特例法に基づき時効特例給付を支
給することとされました。
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