2012年2月18日土曜日
通勤災害ではないから業務災害なのだ、みたいな・・・そんなこと言っているヒマもなく次の労災のお絵かき・・・
涼子さん、sharocさん、コメントありがとうございます。
>駐車場まで歩いて行く途中に転倒した事故は、業務内とされました。
>「往復中」&「業務の性質を有しない」事故なのだから、通災のように感じましたが・・・
むむむ、ビミョ~なところであります。
それであらためて復習しましょう・・・
我が事務所のような零細事業所でも、労災事故が端緒となって裁判になったことが何度かあります・・・
そうです。私の絵が裁判の「証拠」として何回か披露されたこともあるのです!(^^)!
だから、通勤災害よりも業務災害の方が創作意欲がわくから、今回も業務災害だ・・・なんてことはないのですが(-_-;)
それでまあ、「示談」となることを想定して労災の書類を作成します・・・
すなわち、適正なる示談をするためには「損害賠償請求事由」をよく理解しておくことが必要なのであります・・
その請求事由は、大別して、不法行為責任を根拠にするもの、契約責任を根拠にするものがあります・・・
不法行為責任とは民法709条に規定されています。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
そして、この不法行為の成立要件は
①故意、過失があること(主観的要件)
②違法性があること(客観的要因)
③加害者に責任能力があること
④損害が発生したこと
⑤加害行為と損害との間に因果関係があること
とされています。
この不法行為責任を土台として、民法715条の使用者責任、第717条の土地の工作物責任などを併せて責任を追及してきます・・・
(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
今回、使用者責任についてはパスして、土地の工作物責任を考えます・・・
この土地の工作物責任の成立要件は
①土地の工作物からの損害が発生すること
②土地の工作物の「設置または保存の瑕疵によって」損害が生じること
③免責事由のないこと(占有者の要件であって所有者の要件ではない)
もうお分かりですねえ・・・
鉄板で滑って負傷した案件で、通勤災害なんてすると損害賠償請求権を否定することになりますから、監督署としては相談されると「通勤災害ではないから業務災害にしなさい」というしかないのであります・・・
他に、債務不履行責任から見ると、使用者は労働者に対し、労働契約上、生命および健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(安全配慮義務)を負っており、その義務を怠った場合は民法第415条の債務不履行となり、これによる損害を賠償しなければならない・・・というわけです・・・
それでは、その安全配慮義務とは
①物的・環境的危険防止義務
②作業行動上の危険防止義務
③作業内容上の危険防止義務
であり、さらにその義務の内容は、そこから予見される労働災害発生の危険があればそれを予見し、その労働災害の発生を回避しなければならない・・・
むむむ、鉄板が凍って滑りやすくなる・・・なんて予見するのかなあ・・・あとで思うと予見できた、と言われるかも・・・
・・・そんなことを言っているうちに、次の労災が発生しました・・・・
またお絵かきですねえ・・・
もう少し、表情を豊かにしたいような・・・
今回のポイントは、工場の管理者が「労災にしたくない」と言い張ったことであり、昨年新しく入社した総務課長が、現場と労務管理の実務が分からず苦労をして・・・みたいな・・・
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿